予防医療を柱としたサポート体制の確立

日本の医療費問題

日本の医療費は年々増加の一途をたどり、2002年度に30.1兆円だった医療費が2012年度には38.4兆円と増加しています。「2025年問題」と言われる、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者を迎える年度には52.3兆円に達するとの試算もあります。また介護給付金費用も2025年度には21兆円になるとの予想もあり、介護も含めた医療費の増加は国としての大きな問題の一つです。

国は様々な施策により医療費増大の伸びを抑える取り組みをおこなっていますが、地域医療の立場からも、患者数の増加、要介護者の増加、さらに介護師、介護施設の不足などの問題からも医療費は不足する一方であり、医療費をいかに抑えていくかは非常に重要な問題なのです。

予防医療の効果

「2025年問題」に代表されるように日本の抱える高齢化問題は深刻です。そして年齢を重ねるほどに病気やケガが治りにくいことを考えると医療費の削減は簡単なことではありません。

つかり「心身ともに健康な高齢者」を増やすことが、地域医療を圧迫している患者数の増加に対しての一番の解決策となるのです。

そのためには「予防医療」を充実させていく必要があります。予防医療は以前から唱えられていますが、個人、各団体がそれぞれで小さく行なっているに過ぎないのが現状です。しかし地域の企業と医療関係者が中心となって地域全体として取り組めば、予防医療はより深く広く浸透し、またその取り組みをとおして様々な連携が取りやすくなります。

普段の行動、食事、運動など日常的な取り組みで健康的に過ごすことが予防医療です。年齢をかさねるごとに進む体調の衰えや不良は、予防医療を実践することで、体調が崩れることを防いだり、もしくは体調を改善し健康な体に戻すことも可能です。

地域医療の各団体が連携シて予防医療に取り組むことで、軽い症状の患者数だけでなく、重い症状の患者数までも減らすことが可能となります。また未病の方に対しては、予防医療だからこそ早い時期からかかわることができ、病気になりにくい環境をつくることができます。

早い段階から地域住民と医療を通じて関わりが出来ることで、信頼を育み病状を悪化させることを防ぎ、よりきめ細やかなサービスの提供が可能となります。

体力も精神力も健康な高齢者が増えるということは、要介護者の数を増やさないことに繋がり、人手不足・施設不足を抱える介護の現場にもプラスの影響をもたらします。

ノルディック・ウォークの予防医療としての有効性

予防医療で防げる病気といえば、高血圧やメタボリックシンドロームなどに代表される生活習慣病です。これら生活習慣病は、食生活の改善はもちろん、それに合わせて過度な運動を行うことで病気を防ぎ体質改善を図ることができます。

地域医療の一環として「日常に運動する」ことに取り組むことができれば、その点を改善できるのではないのでしょうか。効果的に運動を「治療」として取り入れ、継続する人を増やすことで、長い目を見れは医療の現場の負担も減ります。

効果的に運動量を上げられ、かつ体に負担が少ないスポーツ、それがノルディックウォークです。生活習慣病の予防(メタボリック対策)、健康増進を目的とした有効な全身運動として、医療関係者をはじめとした多くの学識者、指導者によって、その有効性が認められています。また高齢者の転倒予防教室やリハビリテーション(機能回復訓練)の指導においてもその効用・効能が期待されています。

病院側は医療としてかかわることで健康や体調へのアドバイスができます。患者側は気楽に医師に相談ができ、同じようにノルディックウォークへ取り組む人たちと情報交換ができることで健康に対する不安を和らげることができます。また早くからノルディックウォークに親しんでいれば、リハビリで取り入れることもたやすく効果的です。

予防医療がめざす地域での役割

予防医療として早くから地域の人たちと関わることで、データが蓄積され、きめ細やかな対応が可能となります。予防医療で十分改善デキる人、医師の診断が必要となってきた人、リハビリの必要な人、介護が必要な人など、段階を踏んだ対応がとれます。

「長寿」はすでに日本人の代名詞の一つです。2013年厚生労働省の発表によると日本人の平均寿命は、男性79.59歳、女性86.35歳でいずれも前年の調査結果を上回りました。

長生きするのであれば心身ともに健康で痛いと願うのは当たり前のことです。その願いをかなえる役目も予防医療にはあります。

予防医療で長く培った信頼と安心は、今後の地域医療を支える大きな柱となります。

地域を預かる行政が、その柱を中心にされに幅広い分野で地域連携を組めば、より充実したサービスを地域住民が受けられることとなります。

予防医療の分野、医療の分野、リハビリの分野、介護の分野、されに終活の分野。行政にはないノウハウを各分野のスペシャリスト組織が委託されて行えば、地域経済の活性化にも繋がります。

高齢化社会が避けられない現在、「安心して老後を迎えるための心と体のサポート」は、今後の地域社会に必要なサービスなのです。

<各分野連携によるメリット>

  • 患者データの蓄積により、身体の衰えが徐々に進んでも、適切な医療サポートを適切な時期に安心して受けることができる。
  • 体調の心配が無くなることで心の安定も得られる。
  • 最終的な身辺整理ー「終活」についてもサポートが得られ、落ち着いて取り組むことができる。
  • 健康で普通に生活できる期間をより長くする。
  • 安心して長生きできる。